認定店に聞きました!Vol.2
上京区/和食
酒菜 石慶(さかな せっけい)
店主吉井 宏行さん
数々の店で修業を重ね、「酒菜 石慶」をオープン。「ほどよく寄り添うおもてなし」を大切にしながら、旬の食材を用いた和食を提供。
店舗紹介
ジャズが流れるシックで落ち着いた空間で味わえるのは、上賀茂の旬の野菜や鮮度抜群の魚介類などを使った京料理。普段使いから特別な日の会食まで、さまざまな料理やコースを用意しています。
食べ残しゼロや食品ロスを考えるきっかけとなった出来事を教えてください。
少し前の話ですが、ボリューム満点のおいしいそばを出すと評判のお店に訪れた時のこと。子連れのお母さんが隣席に座って、そばを子ども分と合わせて二人前注文されたのですが、出てきたそばの多さに困惑し、最後は残されていました。注文を受ける時、お店のスタッフが「一人前でも十分ですよ」と声をかければ、食べ残しはなかったと思いますし、子どもの食育にもよくないな…と思ったのです。それが今も印象に残っていて、私のお店では、お客様がおいしく食べられる適量を出すことを常に心掛けています。
特に力を入れている取組項目や工夫は?
まず、料理人としておいしい料理を提供すること。それが食べ残しをなくすための大前提です。その上で、注文量が多いと思ったお客様には「少し多いですけど、減らしましょうか?」といった声をかけることや、鯛などの魚は三枚に下ろした後、骨や皮などを料理に用いることにも取り組んでいます。食材を無駄なく使うことは特に力を入れており、スタッフのまかないにもしますので、廃棄量はかなり少ないと思います。こういった取組は、意識して行っているというより、私がこれまで修業した店の店主や先輩方も、当たり前のように行っていましたので、私も当たり前という感覚を持っています。
最近のお客様の食べ残しへの意識は変わってきていますか?
もともと京都は食べ残しをしない、「しまつ」の文化が根づいています。そういった意味では、地元の常連のお客様が食べ残すようなことはほとんどありません。その一方で、最近は外国人のお客様が少しずつ増えています。たとえば、ある国では、残すことが食事の終わりを意味する風習があるなど、食文化が日本と異なっている事情もあり、外国人のお客様の食べ残しは増えているように思います。多くの外国人が京都に訪れている今、外国人に日本の食文化や京都の「しまつ」の心を伝えることは、今後の課題ではないでしょうか。
食べ残しゼロを目指すにあたって、メッセージをお願いします。
私のように経営者と料理人が同じなら、仕入れのコントロールや調理・仕込みの量の調整は簡単です。でも、経営者と料理人が別の場合、どれだけ料理人が現場判断で仕入れ量や仕込みを調整しようにも、経営者が効率や利益を優先してしまえば、たとえ無駄が出ても仕込みは短時間で大量に…といったオペレーションになってしまいます。食べ残しを減らす取組は、食に関わるすべての人が意識を高く持ち、できることに一つずつ取り組んでいくことが大切です。その積み重ねが、食べ残しをしない、食品ロスを出さない文化につながると考えています。