認定店に聞きました!Vol.11
中京区/その他
くっきんぐえくすぺりめんと 番
京都市中京区西ノ京内畑町26-5-1階
TEL:075(204)8624
営業時間等はHPから確認を
店舗紹介
地下鉄「二条」駅から徒歩7分ほどの場所にある「くっきんぐえくすぺりめんと 番」です。店長の野澤さんが原材料からこだわったおばんざいを味わえます。
店名の由来は「cooking experiment=料理実験」。「番」はお番菜(おばんざい)や番茶などに使われている字で、「常にあるもの」を意味します。いつもそばにあるという意味が込められているそうです。
野澤さんは大の子ども好きで、子連れでも気軽にお食事を楽しめるようにと出店されたのだそう。掘りごたつ席もあり、ゆっくりくつろげるお店です。
メニューは「豚角煮の黒酢酢豚セット」などが登場する「日替わりセット」、おかずが選べる「おかずセット」、丼もの、麵などがあります。
「おかずセット」はメインのおかずと、香の物、佃煮、おばんざい3種、マグロ節と利尻昆布のすまし汁のセットです。メインのおかずも数種類あり、毎回悩んでしまいそうです。ほかにも、卵と小麦を使わず、アレルギーのあるお子さんでも気にせず美味しく食べることができる唐揚げなどがあります。
精進料理の教えをもとにした、無駄を出さない取り組み
こちらのお店では、料理に使う野菜の皮も無駄なく使うことで食品ロス削減に取り組んでいます。
もともと中華料理の料理人さんだった野澤さん。中華料理を追求したら中国の精進料理に行き着いたそう。その後、縁があって和食の精進料理の料理人さんに。そこで教わったのが「もったいない」精神だったのだそうです。精進料理では捨てることなく全ていただき、無駄を出さないという教えのもとにお料理をされるそうです。当たり前のように行ってきた無駄を出さない取り組みが、現在のお店の食品ロス削減につながっているとか。
天日干し中の大根の皮と、切り干し大根を使った煮物
大根の皮と面とりをした部分を1週間から10日ほどかけて天日干しし、切り干し大根の煮物としてメニューの一品に追加。さつまいもの面取りした部分は芋けんぴにして、娘さんや地域の子どもたちのおやつにしているそう。
皮を細切りにして芋けんぴに
写真提供/くっきんぐえくすぺりめんと 番
すまし汁のダシに使った昆布はランチの佃煮に、マグロ節は絞ってテイクアウト弁当のふりかけにされます。お料理の際にでる野菜のクズはすべてペーストにして無水カレーに。野澤さんのお料理は本当に「無駄」がないなと感じました。
野澤さんは自分のお店だけでなく、ほかのお店などとも連携して食品ロス削減に取り組んでいます。
焼き肉屋さんで廃棄されるスジ肉を買い取り牛スジコロッケに。からあげの味付け用のリンゴやニンニクは、規格外や傷みなどがあり市場に出せない物をJAから仕入れて使用されています。さらにどうしても出てしまう野菜のくずは貯めておいてペットショップに持っていき、動物が食べても問題ない形でエサとして使用していただくのだそうです。
私からみると徹底されたほどの食品ロス削減への取り組み!と思いましたが、野澤さんはいたって普通の事、当たり前のことだとおっしゃいました。
食べ残しを出さないためのやさしい工夫
野澤さんのお店では食品ロスを出さず出来上がったお料理をご提供された後、次は食べ残しが出ない工夫もされています。
お店は子連れが多く、お子さんのお世話をしながら食べるお客さんに、お食事をお出しする際に「もしも食べられなくっても、持って帰ってくれていいよ」と先に声をかけているのだそう。そうすることでお客さんも気軽に持って帰れるとのこと。このやさしい一声で食べ残しがぐっと減るのだそうです。
レジのよく見える位置には「京都市食べ残しゼロ推進店舗」のステッカーも貼ってありました。これを見たお客さんから「食べ残しゼロにするって大切なことですね」「こういうことに取り組んでらっしゃるんですね」と声をかけてもらうこともあるそうです。
「このステッカーのおかげで、お客様にも食品ロス削減の意識が広まっているのを感じる」とおっしゃっていました。
〝もったいない〟が当たり前になるように
今回、野澤さんのお話をきいているうちに、小さい頃のことを思い出しました。そういえば、母もこういった工夫をして食材を無駄にしないようにしていたなと。野澤さんが「自分にとっては当たり前のこと」とおっしゃっていたように、昔の人は当たり前に取り組んでいたことだったのかもしれません。便利で簡単に物が手に入る今の時代に私が忘れかけていた「食べ物を無駄にしない」という大切なことを再認識させられました。
野澤さんの考えがもっともっと広まり、実行する方が増えると日本中の食品ロスはもっと減っていくような気がします。
食材を無駄にしない取り組みを、私自身ももっと積極的に取り組んでいきたいと思いました。
(取材者:「LIVING kyoto WEB」WEBフレンド Sayaka)